『カトリック教会に侵入したソフト・オカルティズム』
本書の著者はカトリック修道女ですが、教皇庁はニューエイジ運動を批判した文書の中でエニアグラムにも言及し、警告を発しました。(JESUS CHRIST THE BEARER OF THE WATER OF LIFEをヴァチカンのサイトで参照してみてください)
また、元エニアグラム実践家であったイエズス会のパクワ教授も、後に批判に転じています。パクワ教授による次の本を参照。
Catholics and the New Age: How Good People Are Being Drawn into Jungian Psychology, the Enneagram, and the Age of Aquarius
(Mitch Pacwa)
英語を読まない方のためにPacwa論文の要点を紹介いたしましょう。
(1)エニアグラムは二千年の歴史を持つ実践であるという主張には確たる根拠がない。
(2)エニアグラムはもともと数秘術による占いのために用いられていた。
(3)西洋世界にそれを紹介したグルジェフは反キリスト教的オカルティストである。
(4)グルジェフ自身ですら「性格類型」とエニアグラムを結びつける現在のような実践を行っていない。
(5)現在のようなエネアグラムの利用形態はせいぜい数十年の歴史しかもっておらず、しかもそれはオカルティストOscar Ichazoが「メタトロン」と名乗る霊と交流して得たものであると自称している。
また、エニアグラムを西欧社会に紹介したグルジェフは中央アジアを旅行して、スーフィー(イスラーム神秘主義者)やギリシア正教の修道者から「秘教」を学んだと自称していた人間ですが、
(1)グルジェフがその教えを学んだと自称する「修道院」は、なんらその歴史的実在の証拠が見つかっていません。
(2)グルジェフの弟子ザルツマン夫人のグループで二年間活動したLouis Pauwelsによれば、「グルジェフの試み」は「病気・病床・墓場への道を開く危険をおかしている」そうです。(”Une societe secrete;les disciples de Georges Gurdjieff”Arts,May1-7,1952)
(3)普通の人間は単なる肉体のみで、死んだらそれまで、というような主張(ウスペンスキー「奇跡を求めて」邦訳p.61参照)は、霊魂の死後の存続の明確な否定だし、「もし<絶対>が神なら、神の長さと重さを測り、構成要素に分解し、計算し、明確な公式の形で表すことが可能だ」(「奇跡を求めて」邦訳p.144)
というような物質主義的神観は、セム的一神教の正統とはほど遠い。このような教義をスーフィーや正教徒が説くとは到底考えがたいことです。
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