本書は、「己を知り、他を知る」ために読む本。気質、性格診断テストを行い、「自他の違いに気づくこと」で悩み多き人間関係から、脱却する術を提供している。診断の基本要素は、ユングのタイプ論に基づき、「外向型（E）対内向型（I）」、「感覚型（S）対直感型（N）」、「思考型（T）対感情型（F）」、「認知型（P）対判断型（J）」、の4つである。テストで選択された要素の組み合わせから4つの気質と16の性格に分類される。行動の指向性を示す4つの気質は、「自由を愛し衝動に生きるディオニュソス（SP型）」など、ギリシャの神々になぞらえつつ語られ、興味深く読める。16の性格タイプは、「ENFJ型の素顔―― 面倒見がいい」など、タイプ別の特徴を示す言葉がそのまま小題となり、該当ページだけ引けるようになっている。本書の優れた点は的確な診断だけにとどまらない。タイプ別に職場でのリーダーシップ、どんな恋人を選ぶか、さらには子どもの学習法など、あらゆる場面で参考になる話が掲載されている。診断項目が多く面倒だが、二者択一回答で集計作業は簡便化されており10分もかからない。4つの基本要素だけでの判定も可能だ。人間関係で不満があるのは、「自分と他人は違うのだ」という単純な事実に気づいていないせいかもしれない。相手を変えようとむなしい戦いをせず、「違い」を受け入れることをすすめる本書は、人間関係改善の第一歩を踏み出そうとする、読者の背中をそっと押してくれる。（青山浩子）

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