『司法科学におけるDNAの歴史』
内容紹介を見ると劇的な犯人逮捕までの物語のように思っていたけど、これは裁判の傍聴を契機にしたノンフィクションなので、小説のように細部までの謎を解き明かしてくれるものではありません。読み終わっても幾つかの疑問は不明のままだし、判決が事件の真相を証明したとも言えないのでしょう。
この事件の動向を追うのと同時に司法科学においてDNAがどのように登場し、利用されるようになったかを綿密に取材して書かれてあります。どちらかというと、こちらの方が興味深く、もう少し詳しくても良いかと思うほどでした。ジェームス・D・ワトソンの「DNA」の第10章の補完的に読めるので、「DNA」を気に入った人は買いでしょう。
詳細な裁判シーン等もあり、盛り沢山の内容は読者の幅を狭めるのではないかと心配しますが、単純な物語を予想していたことを良い意味で裏切ってくれました。
ラストで作者と登場人物(被疑者)との交流による作者の心情が書かれているのですが、女性らしいと言えばそうなのかも知れませんが、特に殺人事件を題材にしたノンフィクションには不要でしょう。
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